花は時に牙で噛む【停滞中】
こんなに間近に居たのに気付かないって…
驚き過ぎて言葉が出ない。
「…ただいま。もういいの?」
そんなあたしに気づいて、持っていた本を閉じて目を合わせる。
「うん…おかえり。」
駄目だ。
頭がうまく働かない。
あまりに衝撃的だったから。
「お腹空かない?食べよう」
優希は呆然としているあたしの手を取って、ダイニングテーブルに座らせた。
テーブルの上を見ると、手付かずのまま二人分の食事が乗っていた。