花は時に牙で噛む【停滞中】
知らぬが仏。
気付かないフリをしよう。
何だかそれが一番いい気がする。
「ごちそうさま。優希はゆっくり食べてて」
そそくさと視線から逃れるように席を立ち、ソファへと逃げ込む。
優希の眼力は半端ない。
何もしてないのに、何故か罪悪感。
まぁ、いい。
そのうち優希も書斎にこもるに違いない。
もう構ってほしいなんて思わない。
だから、はやく仕事をして欲しい。
あたしを見ないで!!
邪念を払うように、手元のテキストを一心不乱に捲った。