花は時に牙で噛む【停滞中】
どうしよう。
見てる。みんな見てるよ。
「…こ、こんにちは」
恐る恐る声を出せば、前からは冷めた視線に後ろからは盛大なタメ息。
どうやら失敗したらしい。
「あら、妹さんかな?私達も仲間に入れてもらってもいいかな?」
「え、あっ…どう…、」
"どうぞ"そう言い終わる前に横から伸びる手に口を覆われた。
「久しぶりの休暇に婚約者と来てるんだ。他を探してくれ」
一瞬にして美女軍団の表情は固まり、後ろからはパチパチと拍手。
多分、今のあたしは茹で蛸よりも赤くなっているに違いない。
顔から火が出そうだ。
美女軍団と同様に固まるあたしをズルズルと引きずるようにして、優希はパラソルへと戻る。