花は時に牙で噛む【停滞中】


「ごめんね…もう、寝るね」


半分泣きかけていたあたしの声は、もしかしたら震えてたかも知れない。


このまま頭を下げたら涙が伝う、その前に出ようと思った。


けど、そうはさせてくれなかった。


優希の手があたしの腕を掴んだ。



「芽々、ごめん。言い方がきつかった」


「………、」



何か言いたかったけど、ここで話したら完全に涙が伝ってしまいそうで、黙ってる事しか出来ない。


「…芽々、座って」


「………、」


言葉の代わりに、首を横に大きく振った。


< 35 / 196 >

この作品をシェア

pagetop