花は時に牙で噛む【停滞中】
今、ここで座ったら確実に泣いている事がバレてしまう。
何としてでも掴まれている手を放そうと自分の腕を左右に振る。
だけど、そんな事じゃ放してもらえなくて、ますます涙が出た。
もうやだ。
何で放してくれないのよ。
「芽々、そのままでいいから聞いて…お願いだから」
今じゃ暴れ馬の様なあたしを、優しい声で落ち着かせるように言う優希。
優希の視線を背中に感じる。もう、動く事は出来ない。
ちょっとの距離を保ちながらあたしはその場に留まった。