花は時に牙で噛む【停滞中】
優希は動かなくなったあたしを見て安堵したのか、握っている手の力を少し緩める。
「芽々は俺に何を遠慮してる?」
あたし達は恋人同士。
同棲もしてる。
あたしが二十歳になったら結婚するって約束だってある。
遠慮する事ないってあたしも何度も思った。
だけど――…、
「優希の…、お荷物にはなりたく……、ない」
そう言ったあたしの腕の掴優希の手に力が入る。
「何それ…俺が一度でも芽々はお荷物だって言った?」
左右に揺れるあたしの頭。
「俺は芽々にそう思わせる程追い詰めてる?」
切なく呟く優希の声に、さっきより大きく左右に振った。