花は時に牙で噛む【停滞中】
後から抱きしめられていて助かった。
今のあたし、顔真っ赤だと思う。
「…ゆ、優希―…、」
「芽々、今度から何でも俺に言って?遠慮することない」
「…うん、」
「って言っても芽々は遠慮すると思う…特に金銭面」
「………、」
まぁ、そう言われた事ですぐに実践出来るかって言われたら出来ない。
それが金銭面なら尚更。
それを見破る優希は単純に凄いと思う。
ポケーとしているあたしの頬を片手で挟む優希は見るからに呆れ顔。
「芽々、俺達は夫婦になるんだ。芽々を養っていけるのは俺の特権」
「…うん?」
いまいち理解力のないあたしに優希は溜息をついて、テーブルに置いてある資料を手に取った。
"今度から芽々の請求書は俺宛てにしよう"
そう思っていた事など、知りもしない芽々だった。