花は時に牙で噛む【停滞中】
ブーブー…―、
ブーブー…―。
「………、」
出来るものなら、ふざけた豚の鳴き声より小鳥の鳴き声で目覚めたかった。
ベッドのサイドテーブルに置いてあるピンクの豚の目覚まし時計を止める。
もちろん、この豚は俺のじゃなく芽々の私物。
それにしても、珍しくこの時間になっても起きていない芽々。
まぁ、寝坊は誰にだってあることだ。
そう思って隣を見る。
「……いない?」
昨日の夜、確かにここに寝ていた芽々。
だが、今はもぬけの殻。
起きているのか?
だったら目覚ましなんかじゃなく、起こしにくるはず。