花は時に牙で噛む【停滞中】
うん、美味しい。
仕事も出来て料理も出来る。
時々あたしは、優希はずるいと感じる。
全てにおいてパーフェクトな彼。
それに引き換えあたしは、仕事もしてないし、料理も並。
料理どころか全てが並なあたし。
優希に釣り合う所一つも無し。
優希はずるい。ずるすぎるよ……。
「芽々…、?」
「…、ん?」
「泣いてる」
ちょっとだけ冷たい優希の指が頬を撫でる。
それであたしは泣いていたんだと気付いた。
泣きたいわけじゃないのに、無意識に流れだす涙に戸惑う。