花は時に牙で噛む【停滞中】
「ち、違うの…、何でもないから・・・ごめっ…」
必死に溢れ出す涙を止めようとするけど、止まらなくて。
何であたし、こんなに不安定になってんのよ…。
自分の事なのに、それすら分からなくて焦りだす気持ち。
「芽々、落ち着いて…」
ふわっと香る優希の優しい香り。
肩に回る温かい体温。
リズムよく動く優希の音が直に耳に響く。
あたしは、ぎゅっと優希の背中に腕を回した。
「優希…ごめん、ね」
「…どうして?」
あたしの小さな声を、ちゃんと聞いてくれる優希。