花は時に牙で噛む【停滞中】


「ち、違うの…、何でもないから・・・ごめっ…」



必死に溢れ出す涙を止めようとするけど、止まらなくて。


何であたし、こんなに不安定になってんのよ…。


自分の事なのに、それすら分からなくて焦りだす気持ち。




「芽々、落ち着いて…」


ふわっと香る優希の優しい香り。

肩に回る温かい体温。

リズムよく動く優希の音が直に耳に響く。



あたしは、ぎゅっと優希の背中に腕を回した。



「優希…ごめん、ね」


「…どうして?」



あたしの小さな声を、ちゃんと聞いてくれる優希。



< 52 / 196 >

この作品をシェア

pagetop