花は時に牙で噛む【停滞中】

だけど、あたしにはちゃんと届いた優希の言葉。


だから、あたしは優希の腕の中でいっぱい、いっぱい泣いた。


あたしの中にある涙を食い止めていた防波堤が優希によって溶かされた。







そのまま寝てしまったのか、次に目を覚ましたのは、すっかり外が暗くなった時。


ベッドで眠るより少し狭くて、だけど凄く温かい。


頭の上でカタカタと音がする。



「起きた?」


声のする方向を見れば真上に優希の顔があって、そこで優希に膝枕してもらっているんだと気付く。



「寝室の方がいいと思ったけど、こっちの方が看病しやすいから…」


「うん、ありがと…」



ずっと額にあててくれていたらしい優希の手は、いつもより少しだけ温かな手になっていた。



たまには、こういう日があってもいいのかもしれない。









「優希、ごはん食べてないでしょ?」


「いいから、寝てな」




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