こころ
私の母親は、私を生んですぐに交通事故で死んだという事になっていた。
私は生まれてから小学校に入学するまで父親側の祖母に面倒をみてもらっていた。
小学校に入ってからは、放課後に学童という場所に通い、父親が仕事帰りに迎えに来ていた。
高学年になった私は学童には行かず、そのまま遊びに行ったり家で家事をしながら父親の帰りを待っていたりした。
母親のいない生活は、あまり苦ではなく、周囲の人からもそれなりの愛情をそそがれて育った。
私は、生んでくれた母に感謝しながら生きてきたつもりだったのに…
事実は……風俗で働いていた母親に捨てられたなんて 信じられず、信じたくもなかった。
―私は望まれて生まれてきた子供じゃ無いんだな。