ミモザの呼ぶ声
 そこは、底冷えのする冷ややかな世界だった。熱くたぎる創作の路ではない。冷酷な蒼き炎がオレの中に宿り始めていた。

(美優、オレがおまえにしてやれることは、もはや何もない。無に等しいだろう。だから……待っててくれ、オレはこの復讐を必ず、成し遂げる!)

 そのときからだ。オレが良心と決別して奴を地獄へ落とす算段を始めたのは。
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