ミモザの呼ぶ声
かっこうの餌
「ありがとう、響谷君。いつもキミはボクに違った世界を見せてくれる」

「うれしくないね」

 オレの怒りは頂点に達しようとしていた。早く絵を回収に行けよ!

「感謝しても、し足りないよ」

「早く行けっつってんだ、このやろう!」

 あ。つい本音が……。

「わかった、ここではないところに隠したんだね」

 ち。頭の良い奴だ。恐れ入る。

「だけどボクは今日はここで失礼する。世界堂へ行けば、万事解決だ。また明日」

 くそ! イーゼルから道具一式、丸椅子まで片付けていきやがった。
「また」も「明日」もあるか! すっとぼけやがって。
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