ミモザの呼ぶ声
「くっそお! 肝心の飼い主が旅行じゃなんにもできねえ! クソ飼い主め! イヌを、放し飼いにすんじゃねえってんだよ!」

 町内を走り回ってあちこち見たが、それらしい姿は見えなかった。
 目撃情報すらつかめずに陽は暮れようとしていた。
 そのとき、西陽があんなに照ってなければ、オレは黙って見過ごしたかも知れねえ。
 あんなに血にまみれたような光景を見なければ! 
< 6 / 88 >

この作品をシェア

pagetop