ミモザの呼ぶ声
「ようは嫉妬じゃないの? 絵に興味あって来てたんでしょう? 妹さんに見せたかったの? 入選したよって」

 くすくすと口元に指先を持って行って、あのほくそ笑みを見せたので、オレは切れた。

「嫉妬だと? そんな生やさしいもんじゃない!」

 そんなものだったら、どんなにか……美優!

「あの絵の人形は……」

「もちろんボクが壊したんだよ? それがどうかした?」

「見てたさ」

「へ?」

「オマエが妹の大切にしていた人形を、父親の形見を、たたき壊す処を、逐一、目撃していたんだよ!」

「ヘエ……そうなん、だ……それでそんな勢いなの」

 奴は思ってたよりたじろぎ、退室しようとしていた。とめだてする理由などない。オレはすぐに絵に向き合った。
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