先生、好きなんです。
「で?なんですか?…あ、自慢の車見せつけに来たんでしょう?やらしいですね」
「ははっ、自慢してどうすんだよ」
「じゃあ、何のために…え?ちょ…」
結城は、すぐ目の前にほのかがいるにも関わらず、いきなり車から出始めた。
そして、助手席の方へ行くと、ドアを開け……
「乗れ」
「はい?」
「だから家まで送るから乗れ」
こりゃまた驚くことを言い出したよこの男。
「い、いや、大丈夫ですよ。私歩いて帰れるし」
まだ微妙に明るいし。
「今日呼び出して最終下校まで残らせちまったの俺だし。しかも、やることも出来ずに、お前の楽しい放課後も無駄にしちまったし…。だから詫びだ詫び」
「で、でもっ」
「いいから乗れ」
結城は、言っても聞かないほのかを、強制的に車へ押し込んだ。
おい、これ大丈夫?犯罪じゃない?誘拐と間違えられない?
「……うわっ…」
すごいタバコの匂い。
入ると、タバコの匂いが鼻をかすめ、何だかツーンとする。
でも…なんでだろう。
このタバコの香りは…嫌いじゃない。
そんなことを考えていると、いつまに乗っていたのか、結城は車を発進させた。
「じゃ、俺お前ん家知らねぇから。所々教えてな」
「あ、はい…お願いします」
「おー」
……………。
やばい、話すことない。
「あ、そこ右です」
「おー」
…………沈黙。