先生、好きなんです。
(なんで鼻で笑ったの!?)
と言うか、数学係になった理由が分からないのだが。
おもしろいからって何だ?
そう考えた直後、お決まりの予鈴が鳴り響いた。
「…てなわけで、あとは自分達で勝手に決めとけ。…あ、数学係は放課後、数学室に来いよ」
「……へい!?」
急な展開で、ほのかは、おかしな声を出してしまった。
「今日の放課後ですか!?」
決めた日に係の仕事なんて、聞いたことないのだが。
「ちょっと色々あんだよ」
結城は、そう言ってからだるそうに教室から出て行った。
あの人、本当に教師なのだろうか。と思わせるほど、適当な男だ。
「…何なのアイツ」
ほのかの怒りの声は、教室中に鳴り響いた。
……のではなく、ガヤガヤとうるさくなった生徒達の声で消し去られた。
すると、後ろからトントンと肩を叩かれ、トントンされた方向を振り向く。と、そこには……
「ねえ、山城さんだよね?」
黒髪ロングの可愛い女の子が座っていた。
「あ、はい…そうですけど」
「わあああ!山城さんと話せた!」
………は?
「いや、そんな貴重でもないと思うんだけど…」
「私、上条 彩花(かみじょう あやか)!彩花って呼んでね。山城さん!」
彩花は、そう言うと満面の笑みと微笑んだ。
「あ、じゃあ私も、ほのか でいいよ。よろしくね」
ほのかもつられて優しく微笑む。
なんとか、友達げっとのようです。
「じゃ、ほのかって呼ぶね。てかさ、神崎先生かっこよくない?」
結城の名前が出た瞬間、ほのかは、苦虫をかみつぶしたような渋い顔をした。