先生、好きなんです。
「アイツがかっこいい?」
あの、先生のくせに適当な奴が?
生徒の言い分も聞かずに、勝手にどんどん決めちゃうアイツが?
なんか知らないけど、数学係にされた上に、鼻で笑った…アイツがぁあ!?
「ありえないありえない」
ほのかは、手をヒラヒラとさせ、無気力に答えた。
「えぇ?そうかなぁ」
そんなほのかに、彩花は、むーッと口を尖らせながら言う。
か、かわえぇな、この小娘。
「絶対そうだよ。彩花?騙されちゃダメだからね」
そう強く念を押し立ち上がる。
「あんな適当で、不適切な男。いつか、かみ砕いてやるんだから」
「いやいやいやいや、ほのか?なんかすんごい不気味なオーラが漂ってるよ?」
「ふふっ、大丈夫。殺さない程度にかみ砕くから」
「ほんとにやりそうだよぉ」
なんか、すごい子と友達になっちゃったな…。
彩花は、冷や汗をかきながら、数学室へ向かうほのかの後ろ姿を眺めた。
「が、頑張れ先生」
結城の無事を祈って。