先生、好きなんです。
そのころほのかは…既に、数学室のドアの前までたどり着いていた。
「…よし」
気合いを入れ、コンコンと優しくドアを叩く。
「すいません。今日何故か数学係になった山城です。入っていいですか?」
「うーい入れ〜」
……返事も適当だなオイ。こんの適当男めが。
そんな悪態をつきながら、ほのかは数学室へ足を踏み入れた。
「失礼しまーす」
「おー」
「で、用件は?」
「おー」
ちょ、何?何のための呼び出し!?
「何もないなら帰りますけど」
「あーわり。そこの灰皿取ってくんね?」
…質問に答えろや。
私はパシリかよ。
しかも、生徒の前でタバコなんて…。
副流煙で肺ガンになったら神崎結城に慰謝料貰おう。…そう心に誓いながら、灰皿を渡した。
「サンキュ」
「で、用件は?」
「あぁ、お前この問題解け」
「………は?」
ほのかの目の前に出されたのは、計算式がビッシリと書かれた問題用紙と解答用紙だった。
何故、今…?
「お前がどれくらい数学が出来るのか試しだ試し」
「試しって…」
「大丈夫だ。問題は糞簡単な中坊の問題だから」
大丈夫じゃねぇよ!
実は、数学が大の苦手のほのか。もちろん、中学生の問題なんてハードルが高すぎるわけで…
「む、むむ、無理…」
そう、無理と書いてムリと読む!いや当たり前か。