先生、好きなんです。
「大丈夫だ、とりあえずやってみろ。スタート」
「え!?ちょ、待ってよ」
いきなり始まってしまったため、ほのかは仕方なく中央の椅子に座り、問題を解きはじめる。
…だが、まだ始まったばかりにもかかわらず、早速プリントと睨めっこ大会が始まった。
「……むむむ…」
やばい、できないよ。
方程式?1次関数?…はっ、知らねぇよそんなん。
「…も、もう無理…」
「はぁ?始まってまだ1分も経ってねぇよ」
いや、だって。数学全く出来ない奴が1分経っても出来るはずない。
1問解けたら褒めてほしいぐらいだ。
「へ〜、山城って理系っぽいのに意外に数学出来ねぇんだ」
「……り、理科は出来ます!」
てか、外見が理系っぽいってなんすか?だから選んだとか?
「理科出来んのに数学出来ないとか…珍しいなお前」
「いや、でも理科もそこまで得意ってわけじゃないですけど」
「へ〜、じゃあ好きな科目は?」
「…歴史かな?武士とかすごい素敵だと思います」
歴史は、素直に面白い。
日本がどんどん変わっていく姿とか、昔の人の日本への愛とか。
今にはない物を、当時の人々は持っていたと思う。
「日本のために戦って、何かのために命を懸けて尽くして…上手く表せないけど、とりあえず素敵」
…って、何語っちゃってんだ私。
知らないうちに語っていたことに気付き、とても恥ずかしくなるほのか。
結城は、驚いたような顔をしている。
やっぱり、なんか引かれた…?
だが、次の一言でそんな心配は一気に吹き飛んだ。
「す、すげぇ。ほんとに歴史好きなんだな」
目をキラキラさせ、関心したように呟いてくれて。
「もっと教えろ!武士ってかっけぇ」
かなり予想外。