先生、好きなんです。
「校門で待ってろ!」
そう言われてから数十分…
「……来ない…」
先程から結城が来る気配は、一向に見当たらない。
てゆうか、ほんとに来るのだろうか。
「…もう帰ろうかな…」
春とは言え、まだほんの少し寒さが残っているわけで。
そもそも、何故待っていなきゃならないのだろうか。待ってる意味ってなんなんだ?
「うん、帰ろう」
そう寂しそうに呟き、帰る方向へ足を踏み入れた矢先―――
プップー
と、車のクラクションが鳴る音が聞こえた。その車へ振り返る。
その車を一瞥すると、何だか知っている人が乗っていることに気付いた。
………ま、まさか…。
「先生!?」
そう結城が乗っていたのだ。…しかも運転席に。
ほのかは、目を見開きながら運転席側へ近付く。それと同時に、ウィーンと窓ガラスが開いた。
「高そう車ですね」
嫌味を含めたその言葉を発したのは、もちろんほのか。
まぁ、随分と待たされたのは事実だ。嫌味も言いたくなるのも分かる。
「高かったなぁ…」
うんうん、と頷きながら遠い過去のように呟く結城。
まだ若いくせに。