愛しすぎて
プロローグ
それは肌寒い、ある雨の日だった。



「何してるの?」



真っ赤な傘をさした私は電柱の横に傘もささず座り込んでいる少年に聞いた。

年は私と同じくらいだろうか。



「うるせー」



少年はキッと私を睨むと手でシッシっと私を追い払うような仕草を見せた。

私は無言で少年の手を握った。
自分でもなぜこのような行動を取ったのかは分からない。


「何だよ」


「うち、来る?」




冷え切った少年の手に温かさが宿るのを、私は確かに感じた。
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