愛しすぎて
私は昔から物を拾うのが好きだった。

ダンボールに入れられ道端に捨てられている子犬、河原に落ちていた綺麗な石、まだ使えそうな表紙が可愛いノート。

拾い癖のある私を母は叱り、何度も「捨てて来なさい」と怒鳴られた。

しかし私はそれらを捨てようとはせず少し大きめの箱に収納して母から隠していた。


ある日、母が浮気癖のある父に愛想を尽かし家を出ていってしまった。

一緒に来るかと聞かれたが、私は母と離れるよりも隠していた拾い物がバレて捨てられる事の方が嫌だった。

だから私は「お父さんと一緒にいる」と言い、父のもとに残ったのだ。


「これからは新しいお母さんになるから堂々と何でも拾って来なさい」


そう笑顔で言う父に単純な私は「うん」と大きな声で返事をした。


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