愛しすぎて
それから約2ヶ月後、父が地味な服を着た女性を家に連れて来た。
化粧けのない顔に三編みをした真っ黒な髪、オドオドとした態度。

全てが母と正反対だった。


女性の存在を不思議がる私に父は嬉しそうにこう言った。


「真姫の新しいお母さんだよ」


私は女性をじっと見た。
それに気付いた女性はまだ5歳の幼女相手にペコペコと頭を下げだし、気を遣うような笑顔を見せた。


「初めまして、真姫ちゃん。私は千代って言います。お母さんって呼んでね」


私が気になったのは「この人は拾い物を許してくれるだろうか」。

ただそれだけだった。
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