ガラクタ姫

あたしはランドセルをベンチに下ろし、頭にかぶっていた通学帽を飛ばされないようにランドセルの下にしまいこみ、公園の入り口の塀によじのぼった。

何回かジャンプして、勢い付けてのぼろうとするが、体が思うように上がらない。

体が重いんじゃなくて、腕の筋肉が無いんだ。

服が擦れて汚れ、体を支えている手や肘も擦れでヒリヒリ痛みだしたとき、やっとの思いで上へあがった。

バランス良く足で着地し、立ちあがる。

半ベソを少しかいていたので、少しふらついたが、すぐに気持ちを切り替えた。

前を向く。

大きくて怪物のように感じていた小学校が今、あたしと同じ目線にある。

カーテンが閉まっている教室から上級生が歌っている声が聴こえる。

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