【短】ワガママ男とわがまま女
「てゆーか、樹。彼女いるんじゃなかったっけ? 同じクラスなんでしょ。」
「んー、いいんじゃん? それよりオレはユカん家、行きてぇんだけど?」
「んもう。樹ったら!」
余程早く行きたいのか、足取りが速くなっていく二人。
まもなくして二人の背中は、わたしの視界からフレームアウトした。
......ありえない。
樹ってそういう男だったの?
遊び人だってことは知ってたけど、わたしのこと好きって言ってくれてたのに。
だから疑いもせずに、信じてたのに。
樹の本性は、正真正銘の遊び人で
彼女がいるのに他の女の子と腕組んで、その子の家に平気で行っちゃう...
最低男だったってわけ!?
今まで『好き』...、
なんて思ってたわたしがバカみたい!
ミドリの言うとおり、あんなヤツやめてれば良かった!
ワガママで、変態で、遊び人で。
もう、樹なんて大嫌い!
わたしは、あのバカ樹の言動に、はらわたが煮えくりかえる思いだった。