【短】ワガママ男とわがまま女
「だぁれが、変態だって?」
「......ゲッ!」
「ゲッ、って何だよ。ゲッ、って。」
この保健室にはわたしひとりだと思っていたのに、急に声が聞こえて、振り向くと。
ひとつ隣のベッドに、
今、一番会いたくないヤツ......
諸悪の根源、樹がいた。
数日前までは好きって思ってたけど、
今は顔を見るだけでイライラがさらに募ってしまう。
わたしは思い切り樹から目線をそらした。
「ひっでーな、サヤ。オレ達、付き合ってんじゃないの?」
「意味わかんない! その言葉、そっくりそのままあんたに返すわよ!」
まるで何もなかったかのように、わたしに接してくる樹。
ありえない。
ひどい、なんてこっちのセリフだっつーの。
樹の策略に、流されたりなんかしない。
わたしが知らないと思ったら、
おーーー間違いなんだから!
樹の思うツボなんかには、
ぜっったいに、なってやらないんだからね!