【短】ワガママ男とわがまま女


わたしと樹が付き合ったきっかけは、バイトが一緒になったこと。

それまでは、同じ学校で同じクラスだったけど名前さえもあんまり知らなかった。


瓢瓢とした人だと思っていたのに。

どこでもいつでも口説いてきて、猛アタックされてしまったわたしは...

「ウザイ」と拒否していたけれど、結局樹のしつこさに根負けして付き合うことになってしまったのだ。

でもだんだん樹のさりげない優しさなんかに惹かれて、いつの間にか「好き」って思うようになったんだよね。


......でも今は、不安。


わたしは簡単に「好き」なんて言えない意地っ張りで、わがままで、可愛くない女。

素直に甘えることもできない女。

だから、いつ樹に愛想尽かされてもおかしくない。

けれど、やっぱり自分を変えることなんてできなくて。


樹にいつ、「別れよう」って言われてしまうのか......内心ビクビクしてる。







―――そんなわたしの不安は、

......現実になろうとしていた――。




< 3 / 28 >

この作品をシェア

pagetop