<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 海翔が立ち上がる。

 一瞬、桜の思考が固まる。

 久しぶりに面と面を合わせるな。

 ふと目が合う。

 気のせいだと思うが、背伸びたような気がする。

 桜も少し背が伸びたが。

 目を合わせられると、恥ずかしい。


 
 ほんの一瞬の出来事なのに、いろいろ思い出させられる。

「ありがとう。」

 桜の声は小声だ。

 さすがに強引に取るようなまねはしなかったが。

 受け取ったら、もう、すぐ走り去った。

 暖姫が待っているのもあるけど。




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