<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
「素直なところが、るぅちゃんのいいところだよ。」

 桜はそっと頭をなで、立ち上がった。


 雪がますます降り出した。

 桜は、負けじと一歩を踏み出した。

 班の一番先頭。

 背が高い桜が浮いて見えた。何せ、桜は班の中で一番背が高い。
 それに、二番目に背が高い檀との差は約十五センチ。
 
 ますます桜が浮いて見える。


 いつも歩く景色も、今日は違って見えた。

 雪がまぶしく輝いているようにも見えた。

 もうあと二カ月で桜は卒業だ。この景色も、きっと見納めだろう。

 珍しく雪が降り、変わって見える景色を心のしまいながら歩き続けた。

 頬に当たる風が、いつも以上に冷たい。




 
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