<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 右手は手すりにつかまっていて、頭は打っていない。

 足は、かかとがちょっと痛いだけ。

 たぶん怪我なしだな。

 桜は階段を二・三段ぐらいしか上がっていていなかったから、無事に済んだかもしれない。

 これがもし、もっと階段を上がっていたら・・・。

 下手したら、大けがだったかもしれない。

 ひやあ、危なかった。


 
「桜、大丈夫?」

 海翔はさすがに手を差し出す。
 さっきまでニタニタ顔が、急に真面目な顔。

 しかし、桜はその手を握らない。

 手すりに力を入れて、自力で立つ。

 目が怒っている。

 

 

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