<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 だけど、この思いとは裏腹に、桜は海翔に対して心を閉ざしてばかり。

 自分に気を引いてほしい。

 自分に興味があれば、きっと桜の心は開く。

 そう勝手に思い込んだ。

 こうなったら実行するしかない。
 謝るため。


 それで、声をかける。

 それでもダメ。

 だから、約一年前桜の行く手を阻んだ。

 しかし、桜は階段から落ちてしまった。

 落ちて、痛そうにしていた顔。

 とっさに手を差し出した。

 だが、手を取らない。


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