<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 三人はぜいぜい、息を荒げながら坂を上りきる。

 上りきって少し歩いてから・・・。

「絶対、春増君は桜のことが好き!」

「そんなわけない!」

 真夏みたいに熱くなっていたから、春の風が冷たく感じる。
 だから、ほんの少しだけ、桜は冷静になれた。

 もしかして、もしかして・・・。


「希欧って、春増のことが好きなの?」

 ぼそり。

 あんなにキーキー言っているから、つい桜は疑う。

 もちろん、希欧は怒るだろう。

 桜も言ってはっと気が付く。

 言ってしまった。

 絶対言っちゃいけないこと言ってしまった。



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