<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 っと言って、登り始めた。

 桜はすぐ近くに行き、
 
「るぅちゃん、だめだよ。今すぐ下りてよ!」
 
 大声で降りるように言ったが、下りようとする気配がない。

「怪我したらどうするの?」
「みい姉ちゃん(美紫依)、平気だよ!」

「るぅちゃん、下りて、下りて。」

 皆がいつの間にか気づいて、下りるように言う。

 みんな小学生で、高い声が近々鳴り響く。

 それでも登り続ける。


――このままじゃあ、危ない。

   るぅちゃんが、かわいいるぅちゃんが怪我したら・・・。――

 桜は木のそばまで行き、つま先立ちになって手を伸ばす。
 

――届け、届け・・・。――


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