<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 海翔の姿が目に飛び込む。

 考えてはいけないとはわかっても、つい思ってしまう。

 すべては海翔にある。


 海翔がこの学校に来てから、桜の心は狂った。

 封印したはずの憎しみ、悲しみ、そしてあの過去。
 すべてが大爆発。

 美紫依がいないせいか、中学に入ってからはいじめられていないと思うけど。

 いついじめられるか、びくびく怯えている日々。

 そして、なかなかの童顔ルックスは、肉食な希欧をとりこにしてしまった。

 そのせいで、桜は勝手にライバル視された。
 桜は、海翔のことが嫌いなのに。

 挙句の果ては、今この状況。


 海翔さえいなければ、海翔さえいなければ・・・。

 海翔さえいなければ、あの海翔さえいなければ。

 憎い海翔さえいなければ、もっと幸せだったのに。



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