<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
「それにさ、人から聞いた話だけど言っていいかな?」

「って、なんのこと?」

「桜の一番嫌な思い出。」

 嫌な思い出っと言われたら、あれしかない。
 
 希欧知っているんだ・・・。

 知っているならもう、仕方ない。

「別にいいよ。」

 また封印すればいい、そんな楽観的な考えだ。


「じゃあ・・・。

 春増くんは、幼なじみである桜をいじめたことがある。」

「本当の話さ。」

 ぼっそり、もうどうだっていいやって感じで言っているが、内心言われたくない気持ちがある。

「だから、春増くんのこと呼び捨てにする理由がなんとなくわかったの。

 あんなに、しつこいくらい“嫌い”って言った理由が分かったの。

 なのに、希欧のせいで桜を傷つけちゃって・・・。」

 言葉が詰まって、希欧は話せなくなった。



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