<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 男と桜の間に割り込み、引き裂くように手を力いっぱい動かす。

 さらに男の足をけって。

「いってぇっ!」

 男は悲鳴あげても桜を放さない。

「いい加減にしろっ!」

 こんなに怒ってて、男らしく感じる海翔は初めてだ。

 桜は半分戸惑いながら、無理矢理男から脱出しようとする。


 眩しい光が見える。

「おい、今すぐ姉ちゃんを放せ。」

 近所に住むおじさんなのか。

 とにかく、海翔の加勢に。

 おじさんは男の背後に回り、脇腹めがけてチョップ。

「うっ。」

 男は手を放し、桜が解放された。

 桜は地面に倒れこむ。
 海翔はすかさず、駆けつける。



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