<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 大きな根と根の間のくぼんだ所に、檀のランドセルがあるでなないか。

 真正面から見たら、見事に隠れている。

 っと言うことは――

 桜は檀のランドセルを拾い上げ、本人に渡した。

 ふと、美紫依の方を見たら、


――何か知ってそうだな。――

 海翔とひそひそ話している。

 目が泳いでいるように見える。

 桜が睨みつけると、慌てるように平常を装いだす。

「二人とも、様子変だね。」

 海翔はギクッと固まったように見える。

「桜、時間がやばいよ。」

 美紫依は、皆の慌てて意識を時間に向けようとする。

< 22 / 257 >

この作品をシェア

pagetop