<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
「大丈夫ですか。」

 桜はショックのあまり何も言えない。

「先輩。」

 桜の目に力がない。

 とろんとした感じ。


「やめろ、やめろ!」

「兄ちゃん、早く110番に!」

 海翔は携帯を取り出して通報。

 しかし、桜はそれが分からない。

 とにかく今起こったこと、とにかく何とも言えない恐ろしさが桜の周りを包む。


「先輩、もう安心してください。
 110番しましたよ。」

 ようやく、桜は海翔の声に反応する。

「どうして・・・?」

 力のない声。
 体が震えている。

「どうしてって?」

「なぜ、こんな桜を助けたの?」



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