＜完＞　冬桜よ、散りゆけ　 –諦めるべき恋なの？–
　ぎぃぃぃっ！～♪

　自転車と地面がこすれあう音に気を取られていたら・・・。

　海翔が目の前にいるではないか。

　海翔は自転車が倒れているのなんてほっといて、桜の両腕をつかむ。

　桜にとっては、また嫌な思い出がよみがえる。

「先輩が心配なんです。」

　あんなに大真面目に言っている海翔なんて、今まで一度も見たことがない。

　軽くて、お調子者なんだから。


「もういいよ。」

　しゅんと桜は小さくなる。

　はあとため息が聞こえる。


――やっぱり、今回も逃げ切れなかったな。――

　一方海翔は一安心。

　やっと自転車が倒れていることに気が付き、慌てて起こす。

　一瞬、桜と二人乗りしたいなっと思ったが、法律違反だからやめる。

　桜が歩き出したから、海翔も自転車押しながら歩き始める。

　


　

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