<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 桜の頬はりんごのよう。
 緊張していてものすごく痛い。

 まだ長距離走ったほうが痛くない。

 それぐらい恥ずかしい。

 時々海翔は桜のほうを見るが、桜は目をそらす。

 早く家に帰りたい。
 桜は恥ずかしいけど、その思いが歩みを止めず、嫌だと言わない。
 ちなみに、

『もういいよ。』

 っと桜が言ったあと、海翔に対して一言もしゃべってない。

 まあ、言葉を交わしたくないっというのもあるが。


 時計は二十二時を指している。

 あれから一時間くらいは経っているが、桜にとっては二時間くらい経っているのと同じくらい長く感じる。

 普段だったら、塾から家まで二十分強かかる。

 その道のりが長く、長く感じる。
 マラソンか駅伝を走っていて、疲れてもなお走り続けているように感じる。


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