<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
「桜が受け取ればいいのかな?」

「はい。」

 赤外線通信で海翔の携帯から、桜の携帯へ。
 海翔のメールアドレスが送られる。

「ちゃんと届いたよ。

 もう時間がないから、メール送るから。
 ありがとう。」


――おい、何を言ったの!!――

 もう遅い。

 って、時間がない。

 急いでいかないと。

 海翔にほんの少し笑って、駅のほうへ走って行った。

 また一つ桜が散る。

 散る桜のように、早くはかなく走る。

 走っている間、後ろ髪がひかれる思いがしたから。

 海翔はそれを見つめるほかに、何もない。



 
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