<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 下を向いていた。

 悔しいから?怒っているから?

 でも、ふっと前を見れば、遠くに赤、黒、黄色、ピンク、青、カラフルなランドセルが。

 桜は何か、何か、変な気持ちがふっと湧き出る。

 安心したような、なんか悔しいような、怒りたいような…。

 走りたくなる、けどその気持ちを抑えている。

 桜ひとりか、檀と一緒だったら、普通に走ってたかもしれない。

 でも、今は後ろに三人いる。

 だから走るわけにはいかない。


――あと少し、あと少し。――

 次第に大股になって、一ミリ、一センチ、十センチと近づいていく。

 向こうは、信号で止まっている――



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