<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 その微妙というのは、一応隠れているけど、でも完全に隠れきっていない。
 麗羅のオレンジ色のランドセルが、完全にはみ出ている。

 麗羅は檀の声に気付くと、ひょっこりと出てきた。

「よかった、麗羅がいて。」

 檀はすっかり麗羅に抱きついちゃっている。

「ほんとひどいよね、海翔君とみぃちゃんって。
 ねぇ、檀、桜ちゃん。」

 もちろん、二人の答えは同じ。

「うん。」

「じゃあ、他の子も探さないとね。」

 麗羅、恭平、友篤、檀はほかの子を探して、桜はぼおっと見ていた。


――ほんと変ね。
   つい最近まで、一緒に喋っていたのに。
   一緒に帰った時もあったのに。――

 再びため息をついてしまった。

 よく、ため息をつくと不幸になるっと言われている。

 でも、桜はしてしまった。そうとは知らずに。

< 38 / 257 >

この作品をシェア

pagetop