<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 歩きながら流羽奈の顔を見つめる。

 流羽奈は何事もなかったような顔。

 さらに後ろには、海翔や美紫依の怪しい顔。

 桜は、さすがに許せなくなってきた――

 許せない――


「次開けたら、ただじゃないからね。」

 脅し文句のようなことを言ってしまった。

 後悔一つせず、すっきりした顔でまた前向いた。

 その時の流羽奈の顔っと言ったら、何というか、半分青ざめているようで、半分怒っているようで。

 海翔と美紫依は心の中では笑っていた。

 冬の空気が冷たい。
 どこに、寒さの底があるのか分からない。




 
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