<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–
 もう、あれから、隠れられたり、先に行かれたりは日常茶飯事。

 どこに、暗闇の出口はあるのだろうか。

 
「姉ちゃん。」
「檀。」

 桜はいつもの帰り道で、大きな声で言ってしまった。

 檀は姉の失態に気付き、ふふっと苦笑いする。

「あぁ、そうそう。
 今日は珍しいね。いつもだったら、友達に家に行っちゃうのに。」
「ねえ、一緒に麗羅の家に行かない。」

「麗羅ちゃんの家?」

 桜の頭の中にぺけぺけっとはてなマークが浮かぶ。

「それはね。」

 急に桜の耳元に近づいて、ひそひそっと話す。

「なるほどね、じゃあ急がないと!」

 桜の顔は妙に晴れだした。



 
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