17歳の不良と6歳の殺し屋
私は、今どういう顔をしているだろうか?
こんなに狭い部屋で、私達は何の話をしているのだろうか?
翡翠の瞳は、とても冷たく何も映してはいなかった。
私は始めこそは心臓が飛び出る思いだったが、後から後から酷く冷静になっていった。

「私を殺す理由は?」

私の言葉は今までで一番はっきりとしていた。
いつも通りの私の迷いの無い声。

「おまえ自身に恨みはない。頼まれただけ。」
翡翠の方もまったくもって感情の篭らない、どこかの漫画のような台詞を淡々とした物言いで喋っていた。

「誰に?」
「答える必要はない」


不味い。


私の頭にサイレンが鳴る。危険、危険。
この状況なら、誰でも察知出来るんだろうなと思う。

「困るんだけど」
何とか隙を作ろうとしているのがバレバレで、翡翠は少しでも私が動こうとしたらためらいなく打ち抜くつもりだろう。

やっかいだな。

「私もお前が死んでくれないと困るの。失敗は私の死だから」
私は何とか時間を稼ごうと気を引く言葉を考えるが、相手が何故自分を殺そうとしているのかもわからないのだ。言葉の選びようがない。
「何か言いたそうね」
翡翠が細く笑った。
「そりゃ、殺される理由くらい知りたいさ」
「まぁ、そうでしょうね」
翡翠の瞳が静かに伏せられた。


(……今だ!)
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