17歳の不良と6歳の殺し屋

「安心なさい。私が出してあげるわ。」

「え、本当?いいの?」

「ええ」

「あ、ありがとう?」


自分に人を殺す道具を与えられても素直にお礼が言えない雫。

「何ソレ?」


翡翠が軽く一睨みすると、まぁいいわと言って雫に向き直った。

「とりあえず、雫。お前はもう教室に戻りなさい」

「え?」

「せっかく久しぶりに学校に来たのに、これじゃあ意味ないでしょう」


それは当然と言えば当然なのだが、流石に雫はもう今から普通に授業に出る気はなかった。


「早く行きなさい」


だが、そんな事を言ってはまた翡翠に何を言われるかわからないので、雫が「わかった」と返しながらしぶしぶ戻って行った。


「足元に気をつけなさい」

「わかってる」


そう言って雫の姿が闇に消えるのを確認すると、コルダは静かに話し出した。

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