17歳の不良と6歳の殺し屋
私は、ガッと机を蹴り上げた。
「!!?」

まさか、こんな所で反撃をしてくるなんて思ってもいなかっただろう。翡翠は一歩身を引き、傾いた机の後ろにその小さな身柄は隠された。
私は慌てて移動をする。
パシュッ!パシュッ!と音がして振り返る。私が先ほどいた場所に黒い穴が数箇所開いていて、小さな煙が出ていた。

「…ちッ!」


私は舌打ちをして走り出した。私の後を追うように銃弾が黒い痕を残していく。
(音で場所を把握してるのか…)
私は玄関近くに置いてある白いケースからナイフを一本取り出した。



これは緊急用のナイフ。外で何かあった時専用だ。
流石に銃を相手に素手はキツい。


(それにしても随分音が小さかったな…)


銃声はとても小さくモデルガンのようだった。
本物ならもっと響き渡るものではないのだろうか?
だが偽者とは限らない。いや、例え偽者でもあれだけの破壊力があれば充分だ。
私は壁にピッタリと預けて翡翠が出て来るのを待った。
手が震えている。こんな状況は私にとって、そう珍しい事ではない。
しかし、先ほど、翡翠に銃口を向けられた時。
鳥肌が立つような殺気。
押し潰されるような威圧感。
それら、今まで感じた事のない巨大な「恐怖」を浴びて身柄どころか指一本も動かせなかった。
私は震える身柄を叱り付ける。


(落ち着け…!私!!)

私は耳を澄まし、翡翠の様子を伺った。
すると、小さな足音が聞こえる。ゆっくり、ゆっくり、こちらに近づいてきている。
まるでそれはコチラに自分の存在をアピールしている様で怒りが込みあがってきた。
だが、相手のそんな安い挑発に乗るわけもなく。私はゴソゴソと白のケースを探ると野球ボールよりも二周りも小さい鉄性のボールを四つ、手に持った。
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